不動産

不動産の告知事項の範囲は?いつまで告知が必要?わかりやすく解説!

どうも、正直な不動産屋さくらまるです。


不動産をお探ししていると、なんだかこの物件安いけど『告知事項あり』って書いてあるんだけど。
ということはありませんか?


なんだか怖いですよね。


告知事項とは何なのか、何が告知事項になり、何が告知事項ではないのか、どのくらい前の事実まで告知しなくてはいけないのか。


等をこの記事ではわかりやすくご説明させて頂きます。


この記事をお読み頂くと、告知事項の範囲、定義がわかり、知らなくて損した、後悔した、トラブルになってしまった等の失敗を防ぐことができます。


不動産屋に重要な項目を質問することもできますね。


そうすることにより、

「このお客さんよく知っているから騙せないな。」

ということにも繋がります。


わかりやすく解説させて頂きますので、ぜひ最後までお読み頂ければと思います。


告知事項、告知義務とは

告知事項とは、主なもので言うと、その物件の瑕疵(なんらかの欠点)を告知(通知)する事項です。

告知事項は、売主・貸主・媒介業者共に告知義務があります。

隠していたら告知義務違反で、ペナルティもありますよ。ということですね。



正直なところ、告知事項、告知義務の正確な定義というものが定まっていなく、

その物件に関して、知っていたら契約しなかった等とならない様に、契約前に知っていること、知りえることはしっかりと伝えなさい。

という国土交通省からの指導となります。



ただ告知事項の中でも国土交通省は、『心理的瑕疵』に関しては、令和3年にガイドライン(指針)を定めています。

まずは、ガイドラインには下記の様に書かれています。

(心理的瑕疵は)買主・借主にとって不動産取引において契約をするかどうかの判断に重要な影響を及ぼす可能性があることから、売主・貸主は、把握している事実について、取引の相手方である買主・借主に告知する必要がある。

心理的瑕疵に関しては、これからわかりやすく解説させて頂きます。


ちなみに瑕疵(かし)とは、土地、建物等になんらかの欠点があることを言います。


『告知事項、告知義務 = 瑕疵を伝えること』と言っても過言ではありません。


瑕疵は大きく分けると4つに分けられます。

1.心理的瑕疵
2.物理的瑕疵
3.環境的瑕疵
4.法律的瑕疵

では、それぞれご説明させて頂きますね。

心理的瑕疵

心理的瑕疵とは、買主・借主に心理的な抵抗が生じる恐れのあることがらをいいます。


下記に事案ごとにご説明させて頂きます。


心理的瑕疵は、国土交通省のガイドラインに沿ってご説明させて頂きます。

殺人、自殺、事故死、その他原因が明らかでない死亡

過去に殺人事件、自殺、事故死、その他原因が明らかでない(事故死か自然死か明らかでない)死亡が発生した場合、原則として、告知をしなくてはいけません。

これは当たり前ですよね。


これを隠して契約したとしても、後々近隣の人達から耳にしたりするので、隠すというのは、相当な悪意を感じます。


ちなみにどのくらい前に起きたことまで伝えなくてはいけないのか下記の表をご覧頂ければと思います。
告知すべき内容告知すべき期間
売買物件 発生時期、場所及び死因 経過した期間によらず
賃貸物件発生時期、場所及び死因3年間
賃貸物件は、下記の裁判事例等により、事案の発生から3年間は借主に対して、告知を要するものとされています。

・住み心地の良さへの影響は自殺等の後に第三者である別の賃借人が居住した事実によって希薄化すると考えられるとされている事例(東京地裁 H19.8.10判決、東京地裁 H25.7.3 判決)

・賃貸住宅の専有部において自殺が起きた後には、賃貸不可期間が1年、賃料に影響が出る期間が2年あるとされている事例(東京地裁 H19.8.10 判決、H22.9.2 判決等)

尚、告知の留意事項として、亡くなった遺族等、関係者のプライバシーに配慮する必要があることから、氏名、年齢、住所、家族構成等について告知する必要はないとされています。

自然死・孤独死

『自然死』とは、死因が老衰、持病による病死等で亡くなることを言います。


中でも一人暮らし等で一人で亡くなってしまい、発見が遅くなることを『孤独死』と言います。


最近は孤独死が増えてきましたね。
ちなみに令和元年には5,554人とも言われています。

その内発見に4日以上かかったケースが半数以上の約2,994人、発見に1ヶ月以上かかったケースが559人です。
(東京都福祉保健局)

1人暮らしだと外部との接触も少ない為、発見が遅れるケースが多い様ですね。

自然死に関しての告知義務

老衰、持病による病死等の自然死は、原則として告知義務はありません。

国土交通省では、

・自然死については、そのような死が発生することは当然に予想されるものであり、統計においても、自宅における死因割合のうち、老衰や病死による死亡が9割を占める一般的なものである。

・また、裁判例においても、自然死について、心理的瑕疵への該当を否定したものが存在することから、買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いものと考えられ、原則として、告知は要しないものとする。

とされています。

孤独死に関しての告知義務

孤独死に関しては、死亡の発見が遅れた場合には告知義務が発生しますが、早めに見つかった場合等は、告知義務がないと捉えます。


もちろん伝えた方がトラブルにならないので、伝えていくべきだと思いますが、告知義務と言われると、ないと捉えています。これはもう民事上の問題になりますね。


個人的には、売主・買主・媒介業者は伝えていくべきだと思います。


ちなみに国土交通省では、

・長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、室内外に臭気・害虫等が発生し、いわゆる特殊清掃等が行われた場合においては、買主・借主が契約を締結するかどうかの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられるため、これらを認識した場合には、告知を要するものとする。

とされています。

ちなみにどのくらい前に起きたことまで伝えなくてはいけないのか下記の表をご覧頂ければと思います。
告知すべき内容告知すべき期間
売買物件発生時期、場所及び死因経過した期間によらず
賃貸物件発生時期、場所及び死因3年間

告知をするための調査

告知義務の内容に関してはご説明させて頂いたのですが、告知するためにどのくらい調査しなくてはいけないかも気になるところです。


告知義務の責任を負うのは基本的に売主・貸主、媒介業者となり、それぞれご説明させて頂きます。

売主・貸主

売主・貸主は知っていることを伝える義務があり、特に積極的に調査する必要はありません。


伝える際は、書面にて『告知書(物件状況報告書)』により告知する形となります。


故意に隠したり、告知しなかったりした場合、民事上の責任を問われる可能性があります。

媒介(仲介)業者

媒介(仲介)業者は、あくまでも仲介の立場として、売主・貸主に告知書(物件状況報告書)に書面で記載を求めることで、調査義務を果たしたことになります。


別途積極的な調査義務はないとされています。


実際実務上では、疑わしい時等は、関係各所に調査聴取にいき事実確認をしますが、義務ではないということですね。


ちなみに国土交通省では、

・売主・貸主に対して告知書(物件状況報告書)に過去に生じた事案についての記載を求めることにより、媒介活動に伴う通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする。告知書に記載されなかった事案の存在が後日に判明しても、特段の事情がない限り、心理的瑕疵に関する調査は適正になされたものとする。(中略)

・売主・貸主からの特別の調査の依頼を引き受けた場合でない限り、積極的な調査義務はないと考えられる。(中略)

・近隣住民等への第三者に対しては、遺族のプライバシーに関わることであり、慎重に取り扱うことが必要であるとともに、第三者は当該事案について、正確な情報を持っていないことも考えられることから、調査する必要はない。(中略)

・インターネットサイトや過去の報道等に掲載されている事項は、正確性の確認が難しいことから、積極的に調査する必要はない。(中略)

とされています。

心理的瑕疵まとめ

殺人、自殺等明らかに告知義務が発生しそうな事案はわかるのですが、孤独死、調査義務等、線引きが曖昧だった項目に令和3年になって国土交通省がガイドラインを設けましたね。


調査義務等は、調べてもわからないこともあると思うので、義務化はされていないといったところでしょうか。


過去は同じでも知っていて契約したものと、知らずに後から知ったものとでは全然違うかと思います。

ガイドラインに必要がないとされた項目でも自主的に調べて安心材料につながればいいと思います。



ちなみに国土交通省ガイドラインの締めくくりは、
「社会情勢や人々の意識の変化に応じて、適時に見直しを行うこととする。」
とされています。

物理的瑕疵

物理的瑕疵は、建物、土地に瑕疵がある場合に告知事項となります。


ちなみに瑕疵(かし)とは、土地、建物等になんらかの欠点があることを言います。


下記の項目が該当する主なものとなります。

建物の瑕疵

  • 雨漏り
  • シロアリ
  • 耐震強度不足

土地の瑕疵

  • 土壌汚染
  • 地中障害物① 水道管、ガス管等
  • 地中障害物② 旧建物のガラ、基礎、井戸、防空壕等

環境的瑕疵

環境的瑕疵は、対象不動産とは関係ないものの、環境上の問題となりうることがある場合に告知事項となります。

下記の項目が該当する主なものとなります。
  • 騒音、振動、悪臭
  • 日照阻害、眺望侵害
  • 電波障害
  • 道路計画
  • 冠水
  • 反社会勢力事務所
  • ゴミ焼却施設
  • 墓地、葬儀場
  • 嫌悪、迷惑施設
  • 遊戯施設

法律的瑕疵

法律的瑕疵は、文字通り法律に問題を有する瑕疵がある場合に告知事項となります。

下記の法律に抵触するが場合が主なものとなります。
  • 建築基準法
  • 消防法
  • 都市計画法
代表的なもので言うと、『再建築不可』等が該当します。

まとめ

告知事項、告知義務は、主なところで心理的瑕疵、物理的瑕疵、環境的瑕疵、法律的瑕疵、4種類あり、線引きが難しく曖昧なところもあります。


心理的瑕疵だけは、国土交通省のガイドラインができ、一つの指標が作られました。

・事件性及びお部屋が特殊清掃される様な事案は告知義務がある。

・売買は告知すべき期間に定めはない(いつまでも告知義務あり)が、賃貸は告知すべき期間は3年間。

・自然死等は一般的な事案として、告知義務は不要。

・知っていることは告知義務があるが、積極的な調査義務はない。

すごく簡単にまとめるとこの様な内容かと思います。


以上、告知事項・告知義務の範囲、期間等のご説明をさせて頂きました。


最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

この記事で少しでもお役に立てたら幸いです。

今後も不動産に関して有益な情報を記事にさせて頂ければと思います。

宜しくお願いします。

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