どうも正直な不動産屋さくらまるです。
住宅を探していると『借地権』の物件てありますよね。
無条件で選択肢から除外していませんか?
以前他の記事で所有権をおすすめしたのですが、借地権を理解する気がない方がとても多いので、所有権をおすすめさせて頂きました。
しっかりと理解すると、お得だと感じて頂く方もいると思います。
今回の記事では、借地権がどういうものなのかをご説明させて頂きます。
この記事をお読みいただくと、借地権がどういうものかがわかり、借地権を知った上で判断ができる様になり選択肢が広がります。
もしかしたらお得な物件に出会えるかも知れません。
今回の記事では、特にゆっくりとご説明させて欲しいので、メリット・デメリットは最後の方でご説明させて頂きます。
知識の向上にもつながるかと思いますので、最後までお読み頂ければと思います。
特に『底地権を買い取れることも』の章はすごく重要なので、ぜひご覧頂ければと思います。
それでは、早速ご説明させて頂きます。
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目次
借地権とは
まず借地権とはどういうものかご説明させて頂きます。 借地権とは、土地を借りる権利を買うことです。 何か難しいこと言いましたね。 「借りる権利を買う?」ん?と思われたかも知れません。 そうなんです。その土地に家を建てて住む権利を買うのです。 相続もでき、売ることもでき、もちろん借地権に価値はあります。 しかも所有権より安いのです。 なんだか少しだけ興味がわいてきませんか。 私は借地権も不動産として面白いなと思っています。 細かくはゆっくりご説明させて頂きますね。
借地権の権利
まず土地を貸す人を『地主』、土地を借りる人(権利を買う人)を『借地人(借地権者)』と言います。 地主って、お金持ちで権利も強いんでしょ。と思われるかも知れないのですが、そうでも無いんです。 その土地の権利の割合は、一般的に地主 30%、借地人 70% です。 あれ?なんだか意外に借地人の権利(借地権)の割合が高くないですか。 そうなんです。借地権の権利は強いのです。 しかもそもそも日本では生きる権利がすごく強く、家を取り上げるなんてことがなかなかできないのです。 その土地に家が建っている内は、借地権は強くなります。 ただ、家が老朽化して建て壊す等、建物が無い状態になるとその権利は強さを失います。 しかしご心配なく、借地権を失う訳ではありませんので、大丈夫です。
借地権の種類
借地権にも種類があり、大きく分けて旧借地権(旧法借地権)、普通借地権(新法借地権)、定期借地権、3種類に分かれます。
おすすめは旧借地権(旧法借地権)なのですが、下記にご説明させて頂きます。
概要
1992年(平成4年)8月に制定された「借地借家法」により大きく借地権の種類、権利も変わりました。 1992年8月以前からある借地権を旧借地権(旧法借地権)、1992年8月以降の借地権は2つに分かれ、普通借地権(新法借地権)、定期借地権となります。 旧法借地権の権利が強すぎて、地主が自分の土地をなかなか利用できないので、新法「借地借家法」ができました。 それだけ旧法借地権が強いということですね。 今から借地権の土地ができても上記の通り「新法」の借地権となります。 後術する通り、借地権が所有権に変わり、借地権は減っていくので、旧法借地権は増えることはなく、減る一方です。 旧法借地権自体、希少価値が生まれます。ここはサラッと覚えておいてください。
それぞれの説明
旧借地権(旧法借地権)
契約期限は決まっていますが、更新をすることで期限を延長して借りる(住み続ける)ことができます。 契約期間はその土地に建つ建物によって違うので、下記の表をご覧ください。
存続期間 | 最低期間 | 更新後の期間 | |
木造等 | 30年 | 20年 | 20年 |
鉄骨造・鉄筋コンクリート造等 | 60年 | 30年 | 30年 |
木造の場合、一般的に当初20年から20年ごとの更新となります。
基本的に更新はされ、地主のやむを得ない事情がない限り、勝手な理由では更新を拒絶できません。
普通借地権(新法借地権)
契約期間は決まっていますが、地主の合意が得られれば更新することができ、期限を延長して借りることが可能です。
存続期間は構造に関係なく当初30年、合意の上の更新なら1回目は20年、以降は10年となっています。
定期借地権
「一般定期借地権」は存続期間が50年以上です。
更新はなく、契約終了後は更地にして地主に返還する必要があります。
更新はできないものの、最初の契約期間が50年以上と長いため、そこに永住する予定でなければ問題ありません。
借地権の地代
土地は自分のものではないので、借地人は土地にかかる固定資産税は払いません。 固定資産税は、地主が払います。 その代わり、土地を借りていることも含め、『地代』(ちだい、ぢだい)というものを地主に払います。 相場としては、月額 坪800円~1,000円 です。 もちろん地代は地主さんが自分で決めますので様々ですが、相場というものがあります。 固定資産税の額にもよります。他の費用も相場でお話しさせて頂きます。 例えば土地20坪の借地権の地代は、 20坪 × 1,000円 =20,000円 です。 年間24万円となります。 その内半分くらいは固定資産税額となりますので、実質月額1万円、年額12万円くらいです。
借地権、他にかかる費用
地代の他にも地主に払わなくてはならない費用があります。
他にも費用がかかるの?と思った方もいると思いますが、地主側から考えてみてください。
固定資産税と差し引き月1万円の地代で土地を貸すのって、全然儲からないんです。
しかも借地権の土地というのは、売りたくない土地ですから、いい場所にあり、価値が高い可能性が高いです。
価値の高い土地を安価で貸すのですから、何かアクションがある時にでもお金を頂きますよと言うのは、案外フェアーな考えかただと私は思います。
費用がいくらかかるか分からないから不安というだけで、計算できていれば算段がつきやすいと思います。
それでは想定できる費用をご説明させて頂きます。
更新料
更新料はその名の通り更新の際にかかる費用です。
借地権価格の5%~8% くらいが相場です。
例えば、その土地の価値が3,000万円だとしたら、借地権価格は70%の2,100万円です。
2,100万円 × 5% = 105万円 2,100万円 × 8% = 168万円となります。
20年に1回、105万円~168万円がかかる計算ですね。年間約5万円~8万円です。
名義書換料(譲渡承諾料)
名義書換料(譲渡承諾料)とは、借地権を誰かに売った(譲渡した)際に名義を書き換えるのにかかる費用です。
名義変更にも一手間かかりますので、判子代とも言われています。
概ね借地権価売買価格の10%が相場かと思います。
先程の例でいくと2,100万円で売ったら210万円ですね。手元に1,890万円借地権代としては残る計算となります。
ちなみに借地権は相続もできますが、相続時には名義書換料はかからないのが一般的です。
建て替え承諾料
建て替え承諾料とは、家を建て替える際にかかる費用です。
更地実勢価格の3%くらいが相場となります。
先程の例でいくと、実勢価格 3,000万円 × 3% = 90万円 ですね。
底地権を買い取れることも
ちなみに底地権を買い取れることもあります。 この章はすごく重要なので、しっかりとご理解頂ければと思います。 底地権とは、借地権の元になる土地の地主持ち分割合30%部分の権利のことを言います。 借地権者が底地権を買い取れる可能性は割と多いです。 ちなみに 借地権70% + 底地権30% = 所有権 100% です。 借地権者が底地権を買うと所有権になります。 買い取れる理由をこれからご説明させて頂きますね。
底地権を買い取れる理由
地主って高齢者のイメージありませんか。 実際そうなんです。 地主の息子、娘の代に相続となっても借地権は続きます。 相続時に何がかかると思いますか。 答えは『相続税』です。 借地権を持っているということは、①自宅、②アパート、③借地権(底地) の土地も持っているということです。 先にご説明させて頂いた通り、借地権では儲からないのに、唯一の土地を借地権にするはずがありません。 土地をいくつか(いくつも)相続したら相続税はすごいことになりますよね。 日本の土地は相続税のおかげ(?)で、三代続かないと言われています。 相続税対策で不要な土地から手放すのです。 上記①②③で、不要な土地はどれですか。 答えはもうおわかりですよね。③の借地権の土地(底地)です。 そして、売るときには誰に売るのでしょう。 先にご説明させて頂いた通り、底地権を買っても儲からず、何にもおいしくありません。 (将来逆に借地権を買い、所有権にしたいという不動産業者はいますが、レアケースです。底地権にはローンがつかず、現金を長期間眠らせることになるので、普通は買いません。) そうすると誰に売るかと言うと、その土地の借地権者です。 先の例で言うと、「900万円(底地権分)で買ってくれませんか。」とくる訳です。 その時は買った方がいいです。なぜならいい土地が所有権になるからです。 銀行も所有権になるということで、追加融資をしてくれます。 自分に買い取る余力が無いのでしたら、息子さん、娘さんがローンを組んででも買いましょう。 将来、息子さん、娘さんの土地(資産)になる訳ですから。 繰り返しますが、できれば買ってください。 もちろん選択肢は借地権者にありますので、買っても買わなくても構いません。 借地権だけでもお得なので、その時に考えましょう。 欲しくなったら自分から地主に声をかけるのもありかと思います。
借地権のメリット・デメリット
最後に借地権のメリット・デメリットを簡単にまとめさせて頂きます。 デメリットはデメリットでも許容できるデメリットもありますので、安にデメリットだからダメなんだと思わないで頂けたらと思います。
メリット
- 土地が安い
- 土地が大きい
- 立地がいい
- 固定資産税を払わなくていい
- 旧借地権(旧法借地権)なら基本的に更新できる
- 相続できる
- 売却できる
- 将来底地権を買い取れる可能性も十分ある
- 底地権を買い取ると所有権になる
デメリット
- 借地権を把握するのが面倒
- 地代・承諾料等の費用がかかる
- 建物が建っていないと権利が弱くなる
- 土地を担保にお金を借りられない
- 更新、建て直しの際に地主ともめることがあるかも知れない
- 土地を借りるという言葉、イメージが悪い
- 周りの人に自慢できない(できれば借地権と言いたくない)
他にもあるかとは思いますが、簡単にこれくらいにさせて頂きます。
まとめ
以上、借地権を私なりの見解でご説明させて頂きました。 地主が個人の体でご説明が進みましたが、地主は個人だけでは、ありません。 お寺のケースもすごく多いです。 お寺が地主の場合、個人より個人的な感情がない分、トラブルになる可能性はもっと減りますね。 地主がお寺の借地権もおすすめです。地主が誰なのかは、事前に確認する様にしてください。 ちなみにお寺も経済難の時代ですから売却の話も出ますよ。 結論、借地権はお得だと思います。 おすすめできるかは、借地権の理解を深めて頂くか否かにもよるかと思います。 昔は法律が曖昧で、借地権でトラブルが多く、苦労した方も多かったと聞いています。 その頃の世代の方は、「借地権は絶対にやめておけ」と言うでしょう。 今はインターネットも進み、皆さん情報を得ることが容易くなりましたので、知らずに一方的に条件をつきつけられることもなくなりました。 とは言え、正直なところ、初心者の方にはハードルが高いかも知れません。 ハードルを低くするためにもこの記事を書かせて頂いたつもりです。 この記事をご覧頂き、少しでも借地権を学ぶ機会にして頂けたら幸いです。 まずは、不動産情報の借地権と書いてある欄に「旧法借地権」「新法借地権」等の記載がありますので、注目して頂けたらと思います。 最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。 ぜひ他の記事もお読み頂ければと思います。 これからも不動産に関して不動産屋の視点でお伝えできることを書いていきたいと思っております。 少しでもお役に立てたら幸いです。 今後とも、宜しくお願いします。
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